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久しぶりに、わがまま聞いてくれるの続きを更新します。今回は、第4話の前編になります。因みに、前回のお話を読みたい方はこちらです。*この小説はオリキャラが出てくるので、そういうのが苦手な方は読むのは御遠慮下さいます様お願いします。
<わがまま聞いてくれる~第4話 お茶会前編~>
でも、これで良かったのだろうか?と俺は思う。
何だか、嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
「うわ~、俺は何だか、ヤバい気がする。」
今日は日曜日。俺達は今、雨寺神社の本堂に居る。
「気のせいじゃないのかい、李君。」
「お前、警戒心が無さ過ぎだぞ。」
「あのね李君、君は此処まで来といて、今更、止めるなんて、卑怯者のする事だよ。僕は絶対に、嫌だからね。僕は行くよ。」
「そんな、怒るなよ、山崎。おい、聞いてるのか?」
山崎は小狼の問いに、答え様とはしない。
「僕を怒らせたのは、李君でしょ!」
「ごめん。」
2人が話していると、遠くの方から話し声が聞こえて来た。
「霧花お姉様、もう、いい加減にして下さいませんか?」
「別に、良えやんか!何で、そんな事、言うんよ?」
小さな少年とその少年にそっくりな綺麗な女性が揉めている。
「どうして、霧花お姉様に僕が着る浴衣を決められないといけないですか。着る物位、自分で決めますから、放っておいて下さい。」
「アンタは何を言ってるん。女の子とお祭りに行くんやろ。それなりの格好していかんとあかんやろ?しかも、デートやろ。ちゃうんか?」
輝は霧花に言われ、顔赤らめた。
「そ、そんな事、霧花お姉様には一切、関係ない事です。」
「関係ない、やって!?本気で、言ってるんか。あたしの気持ちも知らん癖に。酷いとちゃうか。その子、何処の馬の骨か、知らんけど、正直に言わせて貰うわ。そんな子より、ウチの方が良いに決まってるわ。」
「勝手に、決めるなよ。誰がアンタなんか、好きになるか。」
「だったら、いっぺん、その子を家に連れて来いや。」
「わ、分かった。そんないゆうんやったら、連れて来てやるよ。こっちこそ、覚悟は出来てるんやろうな?」
「はいはい、そこまでにしておこうね?」
「何なん、アンタ?勝手に、話に割って入って、こんといてくれんへんか?」
霧花は山崎に言う。
「じゃあ、僕も言わせて貰いますけどね、お姉さんの言っている事は滅茶苦茶ですよ。因みに、彼は僕の大事な友人なんです。」
「お前なぁ、他所の事情に首を突っ込むな。」
「李君、君は黙っててよ。」
山崎は小狼に言う。
「お姉さんは雨寺君の本当のお姉さんでしょ。そんなの可笑しいんじゃないですか。」
「この子は何ってるんよ。ウチは輝の本当のお姉さんじゃないわよ。あたしは輝の従姉やで。」
「ええぇっ、そうなんですか!?」
山崎は霧花の発言に驚く。
「俺も最初は驚いたんだ。」
「そうなんだ。」
山崎は小狼に頷く。
「だから、あたしが何をしようと、勝手でしょ。」
霧花は続ける。
「あたし、7月14日の夏祭りの日、アキに付いて行くわ。だって、心配やもん。」
「・・・・・・」
輝は霧花に呆れている。
「ああ、あたし、疲れたわぁ~。今日はもう帰るわ。アキ、後は宜しく頼むわ。」
「ちょっと、主催者のアンタが居なくなって、どうすんだよ。」
「あたし、そんなん知らんわ。」
霧花はそう言うと、神社を去って行った。
「もう、君のお姉さん、勝手過ぎるよ。」
「ああ、確かに。」
「だから、あの人はお姉さんじゃないって、言ってるだろ。」
輝は山崎に抗議する。
「まぁ、そんな事より、お茶会はどうすんの?中止かい?」
「またの機会で良いんじゃないのか、山崎。」
「李君、酷いよ。ここまで来て、それは無いよね、雨寺君?」
「わ、分かった。ああ、やるよ。準備するから、左に在るお茶室に入って、座って待っててくれないか?」
そう言うと、輝は準備に取り掛かった。
輝に案内された建物の近くの看板には「女狐庵」と書いてある。
(何故、めぎつねあんなんだ?)
小狼は看板を見て、不思議に思い、首を傾げる。
「雨寺君のお姉さん、さっきの本気かなぁ?李君、聞いてる?」
「あ、ああ!本気じゃないのか。あの人なら、遣りかねなさそうだな。山崎お前、もしかして、止める気なのか?」
(大道寺だったら、ビデオカメラを片手に、面白がるに決まってる。)
「そのつもりだけど。それがどうしたんだい?」
「霧花さん、去年も似た様な事してたんだ。でも、それは未遂だけどな。」
「去年もって!?李君、君は何か、知ってるのかい?」
「霧花さんは無理矢理、雨寺をお茶をしないかって、誘おうとしていたんだ。」
「ああ、そりゃあ、嫌われて仕方ないんじゃ、ないのかい。霧花さんは強引だね。」
山崎は呆れた顔で言った。
2人は茶室にやって来る。
「ねぇ、李君?」
「突然、行き成り、何だ、山崎?」
「どっちが先に座る?」
「俺は後で良い。」
小狼は山崎の問いに答える。
「分かった。あれぇ?それより、雨寺君、遅過ぎない?」
山崎はあたりを見回しながら、心配そうに言った。
「そうだな。もしかしたら、霧花さんに先程、言われた事、気にしてるんじゃないのか?俺、雨寺の様子を見て来るよ。」
小狼は山崎に言うと、お茶室を出て行った。
俺は神社の境内までやって来ると、目を閉じて、意識を集中し、雨寺の気配を辿った。
(あっちの方で、幽かに、雨寺の気配がする。確か、あの方向は友枝町じゃないか。)
「という事は、雨寺は雨寺の祖母の家に行ったって、事だな。」
俺は神社の入り口に停めてある自身の自転車に乗り、雨寺神社を後にした。
小狼は数分後、友枝町に在る雨寺神社の稲荷神社に辿り着いた。
(確か、この神社の近くのはずだ。あれっ?神社から雨寺の気配がする様な。まぁ、取り敢えず、行ってみるか。)
小狼は神社の鳥居を潜ると、長い石の階段を登って行く。
小狼が長い石の階段をやっとの思いで、登り終えた。
そこで、小狼が桜の木の陰から、見た光景は輝と知世が揉めている。しかし、遠過ぎて何を話しているのか、小狼には全く判らない。
(これは止めるべきだな。雨寺に喧嘩を売ったのは大道寺だな。)
「大道寺お前はホント、懲りない奴だな。雨寺が嫌がってるだろ。」
「あら、李君?奇遇ですわね。どうして、ここに?あら、私ですか?私は散歩がてらに偶然、寄っただけですわ。」
(それは本当に、偶然なのか?何か、怪しいぞ?)
「ん!?本当にそうなのか。それは絶対に嘘だな。お前は雨寺がここへ、やって来るのを待ってたんだ。『雨寺君の超絶、可愛い浴衣をビデオに収めねば、後で観るのが楽しみですわぁ~!!』と思ってたんだろ。図星だろ?」
「大道寺さん、気持ち悪い。」
今まで黙ってた輝が知世に対して、怪訝な表情で言う。
「あら李君、それは何かの間違いではありませんの?後、それは私の真似のつもりですか。全然、似てませんわ。」
知世は小狼に反論する。
「馬鹿、そんな事はどうだって良いんだ。本当に、俺の勘違いなのか?だったら、この紙袋は何なんだよ?」
小狼は知世が持っている大きな白い紙袋に指を指した。
「あら、これですか。これはさくらちゃんに着て頂く新しいコスチュームですわ。まさか、貴方は雨寺君にこれを私が着せるとでも、思ったんですの?」
「お前なら遣りかねない。あともう一着有る様だが、それも、さくらに着せるつもりか?」
「勿論、これもですわ。」
「それはどうも見ても、男物だろう。まだ、しらを切るつもりでいるのか?」
「解った。」
輝は何か、閃いた様だ。
「これを大道寺さんは僕に着せるつもりなんだろう。こんな裾の短い浴衣は絶対に、着ないから。」
「ああ、やっぱり、そうだったんだ。」
小狼は呆れた顔で知世に言った。
「大道寺お前、何が楽しいのか、俺は判らないよ。本当に最低だな、お前。」
「あらまぁ、バレてしまったのなら、仕方ありませんわねぇ。実はこれ、李君に着せるつもりで作ったのですが、私のミスで裾を短くしてしまったんですの。」
「はぁ!?何だ、その言い訳は?お前はそんな事、さっきは一言も言ってなかっただろ。ただの馬鹿だろ。」
2人は知世に心底呆れていた。
「あっそういえば、確か、雨寺君に弟さんが居たでしょう。勿体無いので、彼に来て貰えば、丸く収まるのでは?」
(ああ、そう来たか!)
「また、勝手な事を言いやがって、そういう問題じゃないだろうが!」
「まぁまぁ!雨寺君、そう怒らないで下さい。」
知世は輝を宥める。
「大道寺、それは良い案かもしれないが、雨寺の弟は関係ないだろ!」
「李君は少し、黙ってて下さいな?」
「そうはいかないな。お前は一体、何がしたいんだ?言ってみろ?」
「・・・目の保養ですわ。」
「目の保養!?また、意味不明な事言って。」
小狼は困った顔で言った。
「そう!たまには、息抜きが必要ではありません。」
「あ~あ、呆れた。もう良い!お前と話してると疲れてくる。」
小狼は溜め息を吐く。
「あっ、雨寺君、浴衣の合わせ目が逆ですわ。私が直してあげましょうか?」
知世は都合が悪いと、話を逸らす癖がある。
「良い!自分で遣るから。」
「だったら、俺が遣る。コイツは信用出来ないからな。」
「あら?李君が着付けを出来る自信がお有りなんですのね。李君が着物を着付けている所、私は全然、見た事がありませんわ。但し、出来なかった場合、それなりの覚悟が有るんでしょうね?」
「勿論、有るさ。昔の俺とは違う。俺を見くびるなよ。」
(コイツ、本気でマジで、ムカつく。コイツが驚いた顔を見るのが楽しみだな。)
「それなら、どうぞ。行ってらっしゃい。」
知世は自信の有る顔で、2人を待つ事にした。
お社の後ろで、輝の浴衣の合わせ目を直す事にした小狼を心配そうな顔で見つめる輝。
「あんな大口を叩いておいて、本当に、大丈夫なのか。もし、失敗したら、何をされるか堪ったもんじゃない。」
「それは分かってる。実をいうと、ここ最近、着付け教室で着物の着付けを始めたばかりなんだ。正直に言うと、自信は五分五分っていった所だ。お前も、大道寺に言われぱなしだと嫌だろ。だったら、協力してくれないか?頼む。」
小狼は頭を下げて、輝に言う。
「まぁ、そこまで言うんなら、仕方無いな。協力してやるよ。」
輝は渋りながら、言った。
「有り難う、そう言ってくれると助かる。」
「で、何をすれば良いんだ?」
「真っ直ぐ、立っててくれれば良い。」
小狼は輝に言うと、水色の浴衣を締めている青い帯を解く。輝に浴衣の合わせ目を自分で直して貰う。
小狼は再び、浴衣を最初、着ていた状態に戻す途中で、突然、知世の事が頭に浮かび、青い帯を力一杯に締め上げた。
「り、李君、痛いんだけど。」
「ごめん。やり直す。」
小狼は申し訳なさそうに、輝に謝る。
数分後、2人は知世の前に現れた。
「少し、遅かったですね。しかし、上手に出来てるので、驚きですわ。」
知世は口では言っているが、それ程、驚いていない。
「一体、2人で何を話していたんですか?」
「そんな事、お前に関係ないだろ。」
「そんな事はまぁ、良いですわ。私は雨寺君のお家に寄って帰りますわ。私はこれで、失礼しますわ。」
知世はそう言うと、雨寺神社の稲荷神社を出て行った。
「俺達は雨寺神社の本堂に戻ろうか?」
「そうだな。」
小狼と輝も出て行った。
小狼と輝は雨寺神社に戻って来た。
女狐庵の茶室の前に小狼と輝がやって来て、障子を開けると、畳で気持ち良さそうに寝ている山崎の姿があった。どうやら、待ち草臥れて、いつの間にか、眠ってしまった様である。
2人はこの光景を見て、申し訳なさそうに思った。
「・・・んっ?お帰り!随分、遅かったね。」
山崎は目を擦りながら言った。
「あの、戻って来る途中で、大道寺さんに捕まってた。」
「お、俺は雨寺が大道寺に変な事されそうになってたのを目撃して、それで、・・・」
「それは良いんだけど、今、何時だと思ってるだよ?」
山崎は2人に向かって、怒鳴った。
「3時50分だ。」
輝は答える。
「4時前じゃないか。普通なら1時間位で戻って来れる距離だよ。どうしたら、2時間も掛かるのかな?教えてよ、李君!雨寺君!」
「だ・か・ら、さっきも言ったじゃないか。大道寺のせいでこうなったって。山崎、俺達のだけのせいじゃないぞ。」
「それは分かったから、当の本人の大道寺さんは何所に居るわけ?」
「さっき、僕の家に行くって、言ってた。」
「有り難う、雨寺君。僕が君の家に行って来るよ。僕が戻って来るまでにちゃんと、用意しておくんだよ。」
山崎はそう言い残すと、女狐庵を出て行った。
2人は山崎に対して、正直に謝らなかった事を後悔した。
第4話後編へ続く
でも、これで良かったのだろうか?と俺は思う。
何だか、嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
「うわ~、俺は何だか、ヤバい気がする。」
今日は日曜日。俺達は今、雨寺神社の本堂に居る。
「気のせいじゃないのかい、李君。」
「お前、警戒心が無さ過ぎだぞ。」
「あのね李君、君は此処まで来といて、今更、止めるなんて、卑怯者のする事だよ。僕は絶対に、嫌だからね。僕は行くよ。」
「そんな、怒るなよ、山崎。おい、聞いてるのか?」
山崎は小狼の問いに、答え様とはしない。
「僕を怒らせたのは、李君でしょ!」
「ごめん。」
2人が話していると、遠くの方から話し声が聞こえて来た。
「霧花お姉様、もう、いい加減にして下さいませんか?」
「別に、良えやんか!何で、そんな事、言うんよ?」
小さな少年とその少年にそっくりな綺麗な女性が揉めている。
「どうして、霧花お姉様に僕が着る浴衣を決められないといけないですか。着る物位、自分で決めますから、放っておいて下さい。」
「アンタは何を言ってるん。女の子とお祭りに行くんやろ。それなりの格好していかんとあかんやろ?しかも、デートやろ。ちゃうんか?」
輝は霧花に言われ、顔赤らめた。
「そ、そんな事、霧花お姉様には一切、関係ない事です。」
「関係ない、やって!?本気で、言ってるんか。あたしの気持ちも知らん癖に。酷いとちゃうか。その子、何処の馬の骨か、知らんけど、正直に言わせて貰うわ。そんな子より、ウチの方が良いに決まってるわ。」
「勝手に、決めるなよ。誰がアンタなんか、好きになるか。」
「だったら、いっぺん、その子を家に連れて来いや。」
「わ、分かった。そんないゆうんやったら、連れて来てやるよ。こっちこそ、覚悟は出来てるんやろうな?」
「はいはい、そこまでにしておこうね?」
「何なん、アンタ?勝手に、話に割って入って、こんといてくれんへんか?」
霧花は山崎に言う。
「じゃあ、僕も言わせて貰いますけどね、お姉さんの言っている事は滅茶苦茶ですよ。因みに、彼は僕の大事な友人なんです。」
「お前なぁ、他所の事情に首を突っ込むな。」
「李君、君は黙っててよ。」
山崎は小狼に言う。
「お姉さんは雨寺君の本当のお姉さんでしょ。そんなの可笑しいんじゃないですか。」
「この子は何ってるんよ。ウチは輝の本当のお姉さんじゃないわよ。あたしは輝の従姉やで。」
「ええぇっ、そうなんですか!?」
山崎は霧花の発言に驚く。
「俺も最初は驚いたんだ。」
「そうなんだ。」
山崎は小狼に頷く。
「だから、あたしが何をしようと、勝手でしょ。」
霧花は続ける。
「あたし、7月14日の夏祭りの日、アキに付いて行くわ。だって、心配やもん。」
「・・・・・・」
輝は霧花に呆れている。
「ああ、あたし、疲れたわぁ~。今日はもう帰るわ。アキ、後は宜しく頼むわ。」
「ちょっと、主催者のアンタが居なくなって、どうすんだよ。」
「あたし、そんなん知らんわ。」
霧花はそう言うと、神社を去って行った。
「もう、君のお姉さん、勝手過ぎるよ。」
「ああ、確かに。」
「だから、あの人はお姉さんじゃないって、言ってるだろ。」
輝は山崎に抗議する。
「まぁ、そんな事より、お茶会はどうすんの?中止かい?」
「またの機会で良いんじゃないのか、山崎。」
「李君、酷いよ。ここまで来て、それは無いよね、雨寺君?」
「わ、分かった。ああ、やるよ。準備するから、左に在るお茶室に入って、座って待っててくれないか?」
そう言うと、輝は準備に取り掛かった。
輝に案内された建物の近くの看板には「女狐庵」と書いてある。
(何故、めぎつねあんなんだ?)
小狼は看板を見て、不思議に思い、首を傾げる。
「雨寺君のお姉さん、さっきの本気かなぁ?李君、聞いてる?」
「あ、ああ!本気じゃないのか。あの人なら、遣りかねなさそうだな。山崎お前、もしかして、止める気なのか?」
(大道寺だったら、ビデオカメラを片手に、面白がるに決まってる。)
「そのつもりだけど。それがどうしたんだい?」
「霧花さん、去年も似た様な事してたんだ。でも、それは未遂だけどな。」
「去年もって!?李君、君は何か、知ってるのかい?」
「霧花さんは無理矢理、雨寺をお茶をしないかって、誘おうとしていたんだ。」
「ああ、そりゃあ、嫌われて仕方ないんじゃ、ないのかい。霧花さんは強引だね。」
山崎は呆れた顔で言った。
2人は茶室にやって来る。
「ねぇ、李君?」
「突然、行き成り、何だ、山崎?」
「どっちが先に座る?」
「俺は後で良い。」
小狼は山崎の問いに答える。
「分かった。あれぇ?それより、雨寺君、遅過ぎない?」
山崎はあたりを見回しながら、心配そうに言った。
「そうだな。もしかしたら、霧花さんに先程、言われた事、気にしてるんじゃないのか?俺、雨寺の様子を見て来るよ。」
小狼は山崎に言うと、お茶室を出て行った。
俺は神社の境内までやって来ると、目を閉じて、意識を集中し、雨寺の気配を辿った。
(あっちの方で、幽かに、雨寺の気配がする。確か、あの方向は友枝町じゃないか。)
「という事は、雨寺は雨寺の祖母の家に行ったって、事だな。」
俺は神社の入り口に停めてある自身の自転車に乗り、雨寺神社を後にした。
小狼は数分後、友枝町に在る雨寺神社の稲荷神社に辿り着いた。
(確か、この神社の近くのはずだ。あれっ?神社から雨寺の気配がする様な。まぁ、取り敢えず、行ってみるか。)
小狼は神社の鳥居を潜ると、長い石の階段を登って行く。
小狼が長い石の階段をやっとの思いで、登り終えた。
そこで、小狼が桜の木の陰から、見た光景は輝と知世が揉めている。しかし、遠過ぎて何を話しているのか、小狼には全く判らない。
(これは止めるべきだな。雨寺に喧嘩を売ったのは大道寺だな。)
「大道寺お前はホント、懲りない奴だな。雨寺が嫌がってるだろ。」
「あら、李君?奇遇ですわね。どうして、ここに?あら、私ですか?私は散歩がてらに偶然、寄っただけですわ。」
(それは本当に、偶然なのか?何か、怪しいぞ?)
「ん!?本当にそうなのか。それは絶対に嘘だな。お前は雨寺がここへ、やって来るのを待ってたんだ。『雨寺君の超絶、可愛い浴衣をビデオに収めねば、後で観るのが楽しみですわぁ~!!』と思ってたんだろ。図星だろ?」
「大道寺さん、気持ち悪い。」
今まで黙ってた輝が知世に対して、怪訝な表情で言う。
「あら李君、それは何かの間違いではありませんの?後、それは私の真似のつもりですか。全然、似てませんわ。」
知世は小狼に反論する。
「馬鹿、そんな事はどうだって良いんだ。本当に、俺の勘違いなのか?だったら、この紙袋は何なんだよ?」
小狼は知世が持っている大きな白い紙袋に指を指した。
「あら、これですか。これはさくらちゃんに着て頂く新しいコスチュームですわ。まさか、貴方は雨寺君にこれを私が着せるとでも、思ったんですの?」
「お前なら遣りかねない。あともう一着有る様だが、それも、さくらに着せるつもりか?」
「勿論、これもですわ。」
「それはどうも見ても、男物だろう。まだ、しらを切るつもりでいるのか?」
「解った。」
輝は何か、閃いた様だ。
「これを大道寺さんは僕に着せるつもりなんだろう。こんな裾の短い浴衣は絶対に、着ないから。」
「ああ、やっぱり、そうだったんだ。」
小狼は呆れた顔で知世に言った。
「大道寺お前、何が楽しいのか、俺は判らないよ。本当に最低だな、お前。」
「あらまぁ、バレてしまったのなら、仕方ありませんわねぇ。実はこれ、李君に着せるつもりで作ったのですが、私のミスで裾を短くしてしまったんですの。」
「はぁ!?何だ、その言い訳は?お前はそんな事、さっきは一言も言ってなかっただろ。ただの馬鹿だろ。」
2人は知世に心底呆れていた。
「あっそういえば、確か、雨寺君に弟さんが居たでしょう。勿体無いので、彼に来て貰えば、丸く収まるのでは?」
(ああ、そう来たか!)
「また、勝手な事を言いやがって、そういう問題じゃないだろうが!」
「まぁまぁ!雨寺君、そう怒らないで下さい。」
知世は輝を宥める。
「大道寺、それは良い案かもしれないが、雨寺の弟は関係ないだろ!」
「李君は少し、黙ってて下さいな?」
「そうはいかないな。お前は一体、何がしたいんだ?言ってみろ?」
「・・・目の保養ですわ。」
「目の保養!?また、意味不明な事言って。」
小狼は困った顔で言った。
「そう!たまには、息抜きが必要ではありません。」
「あ~あ、呆れた。もう良い!お前と話してると疲れてくる。」
小狼は溜め息を吐く。
「あっ、雨寺君、浴衣の合わせ目が逆ですわ。私が直してあげましょうか?」
知世は都合が悪いと、話を逸らす癖がある。
「良い!自分で遣るから。」
「だったら、俺が遣る。コイツは信用出来ないからな。」
「あら?李君が着付けを出来る自信がお有りなんですのね。李君が着物を着付けている所、私は全然、見た事がありませんわ。但し、出来なかった場合、それなりの覚悟が有るんでしょうね?」
「勿論、有るさ。昔の俺とは違う。俺を見くびるなよ。」
(コイツ、本気でマジで、ムカつく。コイツが驚いた顔を見るのが楽しみだな。)
「それなら、どうぞ。行ってらっしゃい。」
知世は自信の有る顔で、2人を待つ事にした。
お社の後ろで、輝の浴衣の合わせ目を直す事にした小狼を心配そうな顔で見つめる輝。
「あんな大口を叩いておいて、本当に、大丈夫なのか。もし、失敗したら、何をされるか堪ったもんじゃない。」
「それは分かってる。実をいうと、ここ最近、着付け教室で着物の着付けを始めたばかりなんだ。正直に言うと、自信は五分五分っていった所だ。お前も、大道寺に言われぱなしだと嫌だろ。だったら、協力してくれないか?頼む。」
小狼は頭を下げて、輝に言う。
「まぁ、そこまで言うんなら、仕方無いな。協力してやるよ。」
輝は渋りながら、言った。
「有り難う、そう言ってくれると助かる。」
「で、何をすれば良いんだ?」
「真っ直ぐ、立っててくれれば良い。」
小狼は輝に言うと、水色の浴衣を締めている青い帯を解く。輝に浴衣の合わせ目を自分で直して貰う。
小狼は再び、浴衣を最初、着ていた状態に戻す途中で、突然、知世の事が頭に浮かび、青い帯を力一杯に締め上げた。
「り、李君、痛いんだけど。」
「ごめん。やり直す。」
小狼は申し訳なさそうに、輝に謝る。
数分後、2人は知世の前に現れた。
「少し、遅かったですね。しかし、上手に出来てるので、驚きですわ。」
知世は口では言っているが、それ程、驚いていない。
「一体、2人で何を話していたんですか?」
「そんな事、お前に関係ないだろ。」
「そんな事はまぁ、良いですわ。私は雨寺君のお家に寄って帰りますわ。私はこれで、失礼しますわ。」
知世はそう言うと、雨寺神社の稲荷神社を出て行った。
「俺達は雨寺神社の本堂に戻ろうか?」
「そうだな。」
小狼と輝も出て行った。
小狼と輝は雨寺神社に戻って来た。
女狐庵の茶室の前に小狼と輝がやって来て、障子を開けると、畳で気持ち良さそうに寝ている山崎の姿があった。どうやら、待ち草臥れて、いつの間にか、眠ってしまった様である。
2人はこの光景を見て、申し訳なさそうに思った。
「・・・んっ?お帰り!随分、遅かったね。」
山崎は目を擦りながら言った。
「あの、戻って来る途中で、大道寺さんに捕まってた。」
「お、俺は雨寺が大道寺に変な事されそうになってたのを目撃して、それで、・・・」
「それは良いんだけど、今、何時だと思ってるだよ?」
山崎は2人に向かって、怒鳴った。
「3時50分だ。」
輝は答える。
「4時前じゃないか。普通なら1時間位で戻って来れる距離だよ。どうしたら、2時間も掛かるのかな?教えてよ、李君!雨寺君!」
「だ・か・ら、さっきも言ったじゃないか。大道寺のせいでこうなったって。山崎、俺達のだけのせいじゃないぞ。」
「それは分かったから、当の本人の大道寺さんは何所に居るわけ?」
「さっき、僕の家に行くって、言ってた。」
「有り難う、雨寺君。僕が君の家に行って来るよ。僕が戻って来るまでにちゃんと、用意しておくんだよ。」
山崎はそう言い残すと、女狐庵を出て行った。
2人は山崎に対して、正直に謝らなかった事を後悔した。
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プロフィール
HN:
碧 茶々(みどり ちゃちゃ)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1986/01/06
職業:
フリーター
趣味:
Jopの音楽を聴く事と読書
自己紹介:
このブログのプロフィールは「Chocolateparfait」と同じです。上記は「Chocolateparfait」のURLです。
pixivでは淀川秋桜(よどがわコスモス)で活躍してます。後、詩の作者で御影美琴又はMikotoもあたしです。
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