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<わがまま聞いてくれる~第4話後編~>
(俺は雨寺を見てて思うんだが、男には到底見えない。それに、さくら程ではないが、大道寺の言う通り、可愛いのは確かだ。本人には正直、失礼だと思っているんだけどな。しかし、綺麗なうなじだな。まるで、昔のニッポンの女の子って感じだな。今となっても、コイツとお風呂に入るのは正直言って、勇気がいる。でも、山崎は雨寺に対して、普通に接しているしな。俺はそういうのは自信がない!ああ、山崎が羨ましい!)
小狼は輝を尻目にニヤニヤ笑いながら、妙な事を考えている。
(可笑しな事を考えている場合じゃない。バレたら、殺されるかも知れない。今はさくらが居ない事だし、妄想する位なら、怒られないだろうな。そういえば、雨寺はあの人と何時も、どんな事をしているんだろう?雨寺には藤堂という彼女?が居るにも関わらず、あの人と昼休みにイチャイチャしたり、放課後は一緒に帰るに違いない。あの人の家に呼ばれ、お茶をする。雨寺本人は何も考えていないだろうな。そして、あの人に襲われる。)
「うわぁ~!李君、お菓子の盛る上手いなぁ~!本当に初めて、やった様には見えない。」
輝は女の子の様な高い声で、驚いていた。
「別に、驚く程の事じゃない!そんな事より、雨寺!準備は出来てるのか?」
(お前は女子か?)
小狼は輝に聞く。
「とっくに、出来てるよ。」
輝の傍らに、水差し、けんすい、茶杓、棗、茶巾という茶道には必要な物が用意して有る。
まず、茶道の道具について、説明しておきます。
・水差しに入っているお水はお釜のお湯が減った時に継ぎ足すのに使ったり、お茶碗を終いの時に濯ぐのに使う。
・けんすい(口が広い壷の様な物)は汚れた水を捨てる物。
・茶杓は抹茶を掬うのに使う。
・棗は抹茶の入っている入れ物。
・茶巾はお茶碗を拭く為に使う。
・ふくさは男用(女用より大き目)と女用が有る。主に、茶杓と棗を清めるのに使う。
・小ふくさは熱いお茶碗を持って行く時に使う。
とまぁ、説明はこんな感じでしょうか。では、続きをご覧下さい。
「雨寺!後で、コッソリと、茶道のいろはを俺に教えてくれないか?」
「ど、どうして、僕がお前にそんな事、教えてやらないといけないんだよ?」
「さくらに俺が点てたお茶を飲ませてやりたいんだ!」
小狼は真剣に言う。
「・・・そんなの、お茶先生に習えば良いだろう。うちの、お婆様だけど。」
輝は小狼が言った事を遮る。
「無理を言って、すまなかった。それより、お前のお婆様が茶道の先生をやっているのか。あっ、でも、それは止めとくよ!」
「どうして?」
「いや、何となく!」
(雨寺が躊躇う理由は多分、アイツが絡んでるからだろうな。)
アイツとは、大道寺知世の事である。
(これは俺の勝手な推測だが、その茶道を大道寺が習っている。しかも、雨寺と同じ曜日に練習しているに違いない。)
「あっ!山崎君が戻って来てるかもしれないから、もう行くな。」
輝は小狼に言うと、去って行った。
(俺の思った通りだ。かなり、動揺してるぞ。雨寺、大丈夫か?俺は凄く不安だ。)
小狼はお菓子と取り箸が乗った皿を山崎が待っているはずのお座敷の畳に運んだのだが、そこには彼の姿が無かったのだ。
(山崎の奴、遅いなぁ!俺は上座に座るのは絶対に、嫌だからな。)
小狼は困った顔をしている。
小狼はふと不思議に思う。
(それよりどうして、客は俺達2人だけなんだ?)
「どうかしたのか?」
「・・・いや、別に!」
「だったら、良いけど。」
輝は困った顔で、小狼に答えた。
「こんにちは~!てるの居場所をお母様に聞いたら、ここに居ると仰ってらしたんです。私、てるに聞いて欲しい事が有るのですが?」
椿が突然、女狐庵のお座敷にやって来た。
「つ、椿さん!?あ、あの、何か、御用でしょうか?今日、僕はすっごく忙しいので、大したご用件で無ければ、後日に聞きます。では、御機嫌よう!」
「何ですか、その態度は?冷たいじゃないですか。」
「今直ぐ、お帰り下さい!大したご用件では無いのでしょう?」
「まだ、何も言ってませんわ!」
「帰れと言ったのが貴女は判らないんですか?」
「はぁ~、もう良いです!私、9月に長崎へ、3泊4日、修学旅行に行くのですが、修学旅行のお土産、あきらと知世ちゃんには絶対に、買って帰りませんから!それでは、御機嫌よう!」
「ちょっ、ちょっと、椿さん、待って下さい!い、今、何て、仰いました?」
輝は椿を引き留める。
「だから、9月に長崎へ、修学旅行に行くと言いましたが、それが何か?」
椿は輝に対して、不機嫌な顔で答えた。
「な、ながさき!?」
輝と小狼は驚く。
「はい、そうです!李君、さくらちゃん達にお土産が何が欲しいのか、聞いておいて頂けますか?」
「は、はい、それは良いんですけど、椿さんは大道寺と会ったんですか?」
小狼は焦った顔で、椿に聞く。
「ええ!先程、雨寺君のお家の前で見掛けましたわね。後、山崎君は当分の間、帰って来ないと思いますわ。」
椿は小狼に報告した。
「そうですか。」
(何なんだよ、アイツ!俺達に言っておきながら、自分はそれで良いのか?)
小狼は呆れた顔で思った。
「僕が悪かったです。椿さん、機嫌直して下さい!」
輝は椿に謝る。
「雨寺君の美味しいお茶を出してくれたら、許して差し上げても宜しいですわ!」
(何なんだ、この人は?突然、やって来て、厚かましいにも、程があるだろ。)
小狼は椿の発言を聞いて、不機嫌な顔をしていた。
「あら、李君?どうかなさいましたか?」
「別に、何でも有りません。」
小狼は椿に聞かれ、そっぽを向く。
「何でも、無い事は無いでしょう?」
「だったら、聞きますが、貴女は突然、やって来て、どういうつもりなんですか?まさかと思いますが、タダで飲む気じゃないでしょうね?」
「私はタダで飲むとは一言も、言ってませんわ。勿論、あきらのお手伝いをしますわ。それで、貴方の気が晴れましたでしょうか?」
(何だよ、その言い方は?すっごく、ムカつくな!この人、最初から、その気は無かった癖に!)
小狼は無言で椿を睨み付ける。
「お茶を点てる位なら、私にも出来ますわ!これでも、茶道は勉強してますのよ。」
「あっ、そうなんですか。」
輝は呆れた顔で、椿に言った。
「何を怒ってるんですか?」
「別に、怒ってませんが。」
「後片付けは私がやりますわ。なので、機嫌を直して下さい!」
「だからぁ~、別に、怒ってませんって、言ってるでしょ?」
輝は椿に対して、ムキになる。
「それより椿さん、お祭りは行くのを止めにしませんか?」
「あら、どうしてですの?」
椿は輝に、困った顔で聞いた。
「僕の従姉の霧花お姉様が来るからですよ。」
「あら、そんな事。」
「貴女は何を他人事みたいに、仰ってるんですか。」
輝は呆れた顔で、椿に言った。
「椿さん!何か、策が有るんですか?」
今まで、話を黙って、聞いていた小狼が口を挟んで来た。
「勿論、有るには有りますが、ただ、・・・」
椿は小狼の問いに、戸惑う。
(うわぁ、何か、嫌な予感がする。)
「李君、それ以上は聞くなよ?」
「雨寺、どうしてだ?」
「椿さん本人は自覚が無いと思うけど、この人は大道寺さんそっくりだからな。きっと、ろくでも、無い事に考えてる違いないから、聞くのは止めた方が良いよ!」
「俺とした事がすっかり、忘れてたよ。」
2人は小声で話している。
「コラッ、お2人共!何をこそこそと、喋ってらっしゃるの?私に言いたい事が有るのでしたら、はっきりと、仰って下さい!」
椿は2人を見て、憤慨する。
そこへ、例の2人がやって来る。
「一体、君達は何を揉めてるの?」
「兄ちゃん?ねぇ!これは、どういう事なの?」
山崎と輝の弟の縁(えん)が口々に聞く。
「あのぅ、僕は何をしに来たのですか?」
椿は縁に聞いた。
「お姉さん!その言い方は酷くないですか?」
「小学生は帰って、宿題してなさい!」
椿は縁を邪魔者扱いする。
「そんな、冷たい言い方しなくても、良いじゃないですか。俺が貴女に対して、何か、したんですか。俺はただ、・・・この浴衣を見せに、来ただけなのに。」
縁は椿に言われ、悲しい顔で言った。
「縁君!君は全く、悪くないよ!白峰さん、小学生相手に、何を言ってるんですか?」
山崎は椿に、呆れた顔で言った。
一方、小狼はというと、縁の着ている緑色の浴衣を見て、困惑をしている。
「ん!?あれぇ?どうしたのお兄ちゃん、浮かない顔をして?」
「・・・い、いや、別に!」
(お、お前は何故、その浴衣を平然、着ているんだ?)
小狼は縁に聞かれ、動揺する。
「縁!その着物について、大道寺さんから、何か、言われなかったか?」
「ううん、何も、言われてないよ。兄ちゃん、この浴衣がどうかしたの?お兄ちゃんも、何か、知ってるんでしょ?勿体、付けずに言ってよ。」
縁は小狼と輝に聞いた。
一方、山崎と椿はその様子を見て、困った顔していた。
「あっ!それは、・・・聞かない方が良いと、僕は思うよ。」
山崎は2人の代わりに、答える。
「俺はアンタには、全く、聞いてないんだけど!」
縁は山崎に対して、冷たくあしらう。
「確かに、山崎君の言う通りだと思いますわ。縁君!お兄さん達の邪魔になるでしょうし、お姉さんと向こうに、行ってましょうか?」
椿は縁に優しく言う事が、かえって、逆効果だった様だ。
「ふ~ん、そんな事、言うんだ!それで、俺の気が晴れるとでも、思った訳?」
「い、言うから、怒るな!」
「へぇ~、やっと、言う気になったんだ!」
(もう、コイツは子供の癖に、つくづく、ムカつく奴だな!)
小狼は縁を睨み付けた。
「李君、落ち着きなよ?小学生相手に対して、ムキになるのはみっともないから、止めなよ?」
山崎は困った顔で、小狼に言う。
「縁!人に物を頼む時、そう言い方したら、相手が気を悪くするのは当然だろ。」
「だったら、兄ちゃんがそのお兄ちゃんの代わりに、その事情を説明してくれるつもりなの?」
「えっ!?どうして、僕が説明しないといけないんだ?」
輝は困った顔で、縁に聞く。
「別に、俺はさぁ、どっちが説明してくれても、良い訳!ちゃんと、言ってくれなきゃ、分かんないでしょ?」
「分かったよ。言えば良いんだろ。・・・実をいうと、その浴衣はな、大道寺さんが元々は、李君にあげるつもりで作ったんだそうだ。大道寺さんがぼ~っとしていて、寸法を間違えて作ったらしい。」
輝は困った顔で、縁に言う。
「何、それ?そのお姉さんのタダの良い訳じゃん!」
縁は呆れた顔で言った。
「勝手に、怒ってごめんなさい。」
縁は皆に謝る。
「縁が謝る必要は無いですわ。悪いのは、知世ちゃんですからね。」
椿は縁の頭を撫でながら、宥める。
「縁君に良く似合ってると思いますわ!」
椿は縁に嬉しそうに言う。
「そうかなぁ?大人っぽくて、俺には、似合わないと思うんですけど。」
縁は納得が行かない様子。
「そんな事は良いから、始めようか?只でさえ、時間が押しているんですからね。」
輝は椿と縁に言う。
「はい、分かりました!」
椿と縁は輝に答える。
3人は小狼と山崎を残して、出て行く。
「何なんだよ、あれは?」
2人は何事も、無かった様な顔で、出て行った3人に対して、呆れた顔で言った。
第5話に続く。
(俺は雨寺を見てて思うんだが、男には到底見えない。それに、さくら程ではないが、大道寺の言う通り、可愛いのは確かだ。本人には正直、失礼だと思っているんだけどな。しかし、綺麗なうなじだな。まるで、昔のニッポンの女の子って感じだな。今となっても、コイツとお風呂に入るのは正直言って、勇気がいる。でも、山崎は雨寺に対して、普通に接しているしな。俺はそういうのは自信がない!ああ、山崎が羨ましい!)
小狼は輝を尻目にニヤニヤ笑いながら、妙な事を考えている。
(可笑しな事を考えている場合じゃない。バレたら、殺されるかも知れない。今はさくらが居ない事だし、妄想する位なら、怒られないだろうな。そういえば、雨寺はあの人と何時も、どんな事をしているんだろう?雨寺には藤堂という彼女?が居るにも関わらず、あの人と昼休みにイチャイチャしたり、放課後は一緒に帰るに違いない。あの人の家に呼ばれ、お茶をする。雨寺本人は何も考えていないだろうな。そして、あの人に襲われる。)
「うわぁ~!李君、お菓子の盛る上手いなぁ~!本当に初めて、やった様には見えない。」
輝は女の子の様な高い声で、驚いていた。
「別に、驚く程の事じゃない!そんな事より、雨寺!準備は出来てるのか?」
(お前は女子か?)
小狼は輝に聞く。
「とっくに、出来てるよ。」
輝の傍らに、水差し、けんすい、茶杓、棗、茶巾という茶道には必要な物が用意して有る。
まず、茶道の道具について、説明しておきます。
・水差しに入っているお水はお釜のお湯が減った時に継ぎ足すのに使ったり、お茶碗を終いの時に濯ぐのに使う。
・けんすい(口が広い壷の様な物)は汚れた水を捨てる物。
・茶杓は抹茶を掬うのに使う。
・棗は抹茶の入っている入れ物。
・茶巾はお茶碗を拭く為に使う。
・ふくさは男用(女用より大き目)と女用が有る。主に、茶杓と棗を清めるのに使う。
・小ふくさは熱いお茶碗を持って行く時に使う。
とまぁ、説明はこんな感じでしょうか。では、続きをご覧下さい。
「雨寺!後で、コッソリと、茶道のいろはを俺に教えてくれないか?」
「ど、どうして、僕がお前にそんな事、教えてやらないといけないんだよ?」
「さくらに俺が点てたお茶を飲ませてやりたいんだ!」
小狼は真剣に言う。
「・・・そんなの、お茶先生に習えば良いだろう。うちの、お婆様だけど。」
輝は小狼が言った事を遮る。
「無理を言って、すまなかった。それより、お前のお婆様が茶道の先生をやっているのか。あっ、でも、それは止めとくよ!」
「どうして?」
「いや、何となく!」
(雨寺が躊躇う理由は多分、アイツが絡んでるからだろうな。)
アイツとは、大道寺知世の事である。
(これは俺の勝手な推測だが、その茶道を大道寺が習っている。しかも、雨寺と同じ曜日に練習しているに違いない。)
「あっ!山崎君が戻って来てるかもしれないから、もう行くな。」
輝は小狼に言うと、去って行った。
(俺の思った通りだ。かなり、動揺してるぞ。雨寺、大丈夫か?俺は凄く不安だ。)
小狼はお菓子と取り箸が乗った皿を山崎が待っているはずのお座敷の畳に運んだのだが、そこには彼の姿が無かったのだ。
(山崎の奴、遅いなぁ!俺は上座に座るのは絶対に、嫌だからな。)
小狼は困った顔をしている。
小狼はふと不思議に思う。
(それよりどうして、客は俺達2人だけなんだ?)
「どうかしたのか?」
「・・・いや、別に!」
「だったら、良いけど。」
輝は困った顔で、小狼に答えた。
「こんにちは~!てるの居場所をお母様に聞いたら、ここに居ると仰ってらしたんです。私、てるに聞いて欲しい事が有るのですが?」
椿が突然、女狐庵のお座敷にやって来た。
「つ、椿さん!?あ、あの、何か、御用でしょうか?今日、僕はすっごく忙しいので、大したご用件で無ければ、後日に聞きます。では、御機嫌よう!」
「何ですか、その態度は?冷たいじゃないですか。」
「今直ぐ、お帰り下さい!大したご用件では無いのでしょう?」
「まだ、何も言ってませんわ!」
「帰れと言ったのが貴女は判らないんですか?」
「はぁ~、もう良いです!私、9月に長崎へ、3泊4日、修学旅行に行くのですが、修学旅行のお土産、あきらと知世ちゃんには絶対に、買って帰りませんから!それでは、御機嫌よう!」
「ちょっ、ちょっと、椿さん、待って下さい!い、今、何て、仰いました?」
輝は椿を引き留める。
「だから、9月に長崎へ、修学旅行に行くと言いましたが、それが何か?」
椿は輝に対して、不機嫌な顔で答えた。
「な、ながさき!?」
輝と小狼は驚く。
「はい、そうです!李君、さくらちゃん達にお土産が何が欲しいのか、聞いておいて頂けますか?」
「は、はい、それは良いんですけど、椿さんは大道寺と会ったんですか?」
小狼は焦った顔で、椿に聞く。
「ええ!先程、雨寺君のお家の前で見掛けましたわね。後、山崎君は当分の間、帰って来ないと思いますわ。」
椿は小狼に報告した。
「そうですか。」
(何なんだよ、アイツ!俺達に言っておきながら、自分はそれで良いのか?)
小狼は呆れた顔で思った。
「僕が悪かったです。椿さん、機嫌直して下さい!」
輝は椿に謝る。
「雨寺君の美味しいお茶を出してくれたら、許して差し上げても宜しいですわ!」
(何なんだ、この人は?突然、やって来て、厚かましいにも、程があるだろ。)
小狼は椿の発言を聞いて、不機嫌な顔をしていた。
「あら、李君?どうかなさいましたか?」
「別に、何でも有りません。」
小狼は椿に聞かれ、そっぽを向く。
「何でも、無い事は無いでしょう?」
「だったら、聞きますが、貴女は突然、やって来て、どういうつもりなんですか?まさかと思いますが、タダで飲む気じゃないでしょうね?」
「私はタダで飲むとは一言も、言ってませんわ。勿論、あきらのお手伝いをしますわ。それで、貴方の気が晴れましたでしょうか?」
(何だよ、その言い方は?すっごく、ムカつくな!この人、最初から、その気は無かった癖に!)
小狼は無言で椿を睨み付ける。
「お茶を点てる位なら、私にも出来ますわ!これでも、茶道は勉強してますのよ。」
「あっ、そうなんですか。」
輝は呆れた顔で、椿に言った。
「何を怒ってるんですか?」
「別に、怒ってませんが。」
「後片付けは私がやりますわ。なので、機嫌を直して下さい!」
「だからぁ~、別に、怒ってませんって、言ってるでしょ?」
輝は椿に対して、ムキになる。
「それより椿さん、お祭りは行くのを止めにしませんか?」
「あら、どうしてですの?」
椿は輝に、困った顔で聞いた。
「僕の従姉の霧花お姉様が来るからですよ。」
「あら、そんな事。」
「貴女は何を他人事みたいに、仰ってるんですか。」
輝は呆れた顔で、椿に言った。
「椿さん!何か、策が有るんですか?」
今まで、話を黙って、聞いていた小狼が口を挟んで来た。
「勿論、有るには有りますが、ただ、・・・」
椿は小狼の問いに、戸惑う。
(うわぁ、何か、嫌な予感がする。)
「李君、それ以上は聞くなよ?」
「雨寺、どうしてだ?」
「椿さん本人は自覚が無いと思うけど、この人は大道寺さんそっくりだからな。きっと、ろくでも、無い事に考えてる違いないから、聞くのは止めた方が良いよ!」
「俺とした事がすっかり、忘れてたよ。」
2人は小声で話している。
「コラッ、お2人共!何をこそこそと、喋ってらっしゃるの?私に言いたい事が有るのでしたら、はっきりと、仰って下さい!」
椿は2人を見て、憤慨する。
そこへ、例の2人がやって来る。
「一体、君達は何を揉めてるの?」
「兄ちゃん?ねぇ!これは、どういう事なの?」
山崎と輝の弟の縁(えん)が口々に聞く。
「あのぅ、僕は何をしに来たのですか?」
椿は縁に聞いた。
「お姉さん!その言い方は酷くないですか?」
「小学生は帰って、宿題してなさい!」
椿は縁を邪魔者扱いする。
「そんな、冷たい言い方しなくても、良いじゃないですか。俺が貴女に対して、何か、したんですか。俺はただ、・・・この浴衣を見せに、来ただけなのに。」
縁は椿に言われ、悲しい顔で言った。
「縁君!君は全く、悪くないよ!白峰さん、小学生相手に、何を言ってるんですか?」
山崎は椿に、呆れた顔で言った。
一方、小狼はというと、縁の着ている緑色の浴衣を見て、困惑をしている。
「ん!?あれぇ?どうしたのお兄ちゃん、浮かない顔をして?」
「・・・い、いや、別に!」
(お、お前は何故、その浴衣を平然、着ているんだ?)
小狼は縁に聞かれ、動揺する。
「縁!その着物について、大道寺さんから、何か、言われなかったか?」
「ううん、何も、言われてないよ。兄ちゃん、この浴衣がどうかしたの?お兄ちゃんも、何か、知ってるんでしょ?勿体、付けずに言ってよ。」
縁は小狼と輝に聞いた。
一方、山崎と椿はその様子を見て、困った顔していた。
「あっ!それは、・・・聞かない方が良いと、僕は思うよ。」
山崎は2人の代わりに、答える。
「俺はアンタには、全く、聞いてないんだけど!」
縁は山崎に対して、冷たくあしらう。
「確かに、山崎君の言う通りだと思いますわ。縁君!お兄さん達の邪魔になるでしょうし、お姉さんと向こうに、行ってましょうか?」
椿は縁に優しく言う事が、かえって、逆効果だった様だ。
「ふ~ん、そんな事、言うんだ!それで、俺の気が晴れるとでも、思った訳?」
「い、言うから、怒るな!」
「へぇ~、やっと、言う気になったんだ!」
(もう、コイツは子供の癖に、つくづく、ムカつく奴だな!)
小狼は縁を睨み付けた。
「李君、落ち着きなよ?小学生相手に対して、ムキになるのはみっともないから、止めなよ?」
山崎は困った顔で、小狼に言う。
「縁!人に物を頼む時、そう言い方したら、相手が気を悪くするのは当然だろ。」
「だったら、兄ちゃんがそのお兄ちゃんの代わりに、その事情を説明してくれるつもりなの?」
「えっ!?どうして、僕が説明しないといけないんだ?」
輝は困った顔で、縁に聞く。
「別に、俺はさぁ、どっちが説明してくれても、良い訳!ちゃんと、言ってくれなきゃ、分かんないでしょ?」
「分かったよ。言えば良いんだろ。・・・実をいうと、その浴衣はな、大道寺さんが元々は、李君にあげるつもりで作ったんだそうだ。大道寺さんがぼ~っとしていて、寸法を間違えて作ったらしい。」
輝は困った顔で、縁に言う。
「何、それ?そのお姉さんのタダの良い訳じゃん!」
縁は呆れた顔で言った。
「勝手に、怒ってごめんなさい。」
縁は皆に謝る。
「縁が謝る必要は無いですわ。悪いのは、知世ちゃんですからね。」
椿は縁の頭を撫でながら、宥める。
「縁君に良く似合ってると思いますわ!」
椿は縁に嬉しそうに言う。
「そうかなぁ?大人っぽくて、俺には、似合わないと思うんですけど。」
縁は納得が行かない様子。
「そんな事は良いから、始めようか?只でさえ、時間が押しているんですからね。」
輝は椿と縁に言う。
「はい、分かりました!」
椿と縁は輝に答える。
3人は小狼と山崎を残して、出て行く。
「何なんだよ、あれは?」
2人は何事も、無かった様な顔で、出て行った3人に対して、呆れた顔で言った。
第5話に続く。
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プロフィール
HN:
碧 茶々(みどり ちゃちゃ)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1986/01/06
職業:
フリーター
趣味:
Jopの音楽を聴く事と読書
自己紹介:
このブログのプロフィールは「Chocolateparfait」と同じです。上記は「Chocolateparfait」のURLです。
pixivでは淀川秋桜(よどがわコスモス)で活躍してます。後、詩の作者で御影美琴又はMikotoもあたしです。
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